(特別管理)産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物および特別管理産業廃棄物(以下、単に「産業廃棄物」といいます)を運搬するための許可です。車両に積み込む場所および積み降ろす場所を管轄する自治体それぞれの許可が必要となります。たとえば、埼玉県で産業廃棄物を車両に積み込み、東京都を経由して神奈川県で積み降ろす場合は、埼玉県と神奈川県の許可を取得すればよく、通過するだけの東京都の許可は不要です。

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許可には、「積替え保管を含む」ものと「積替え保管を除く」ものがあります。積替え保管を除く場合は、上記のとおり、積込場所から積み降ろし場所まで一度も荷降ろしせずに処分場へ直送することが求められます。一方、積替え保管を含む場合は、許可を得た積替え保管施設で一時的に荷降ろしを行うことが可能です。積替え保管施設では、選別作業や、一定期間(7日間以内)の保管が認められています。保管後は、あらかじめ定められた処分場等に運搬します。

上の図の場合、必要となる許可は以下のとおりです。
①埼玉県の運搬許可(積替え保管を含む)
②千葉県の運搬許可(積替え保管を除く)
③神奈川県の運搬許可(積替え保管を除く)
なお、積替え保管を含む許可は、現に保管施設が所在する自治体でのみ必要となります。

(特別管理)産業廃棄物処分業許可

産業廃棄物および特別管理産業廃棄物(以下、単に「産業廃棄物」といいます)の処分を行うための許可です。破砕、焼却、溶融など、さまざまな処理方法があります。また、一定の処理能力を有する設備については、「産業廃棄物処理施設設置許可」の対象となります。

処分基準

産業廃棄物を処分するためには、法令に定められた基準を満たす必要があります。たとえば、産業廃棄物が飛散・流出しないこと、また、処分に伴う悪臭、騒音、振動等により生活環境の保全に支障が生じないことなど、多くの基準が定められており、内容は複雑です。これらの基準の解釈は必ずしも文言どおりではなく、行政庁による指導内容も地域によって異なります。たとえば、埼玉県では原則として屋内作業を指導していますが、他県ではそのような指導を行っていない自治体も多くあります

事業を計画する際の重要ポイント

事業地を選定する際は、必ずその場所が計画内容に適合しているか事前に確認してください。単に価格が安い、周囲に民家がないため問題がないだろう、という理由だけで土地を選定すると、許可を取得できない可能性があります。たとえば、選定した土地が市街化調整区域に指定されている場合、建物の建設自体ができず、施設の設置が不可能となることがあります。また、周囲に民家がない場合でも、保護地域に指定されていれば施設設置が認められないなど、思わぬ障害が発生することがあります。このため、選定の際には不測の事態を避けるため、十分な事前調査を行うことが重要です。

廃棄物処理施設設置許可

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)第15条の規定により、政令で定める産業廃棄物処理施設を新たに設置しようとする場合には、都道府県知事の設置許可を受ける必要があります。これは、廃棄物に該当する該当しないに関わらず対象となります。たとえば、工場施設のボイラーが一定の処理能力を有する場合には設置許可が必要ですが、ボイラーで廃棄物を焼却するわけではないため、処分業の許可は不要です。一方、廃棄物の焼却施設を設置する場合には、設置許可に加え、処分業の許可も取得する必要があります。

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埼玉県 特定再生資源屋外保管業(ヤード条例)に関する手続き

条例制定の背景

近年、金属くずやプラスチックなどの再生資源を取り扱う事業者による、無許可営業や不適切な保管・処理が問題となっていました。これにより、火災の発生や騒音・悪臭など、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼすケースが増加しています。また、盗難品の解体や不法投棄の温床となる事例も報告されており、既存の法律だけでは十分な対応が難しい状況です。こうした背景から、埼玉県では独自の条例を制定し、再生資源の屋外保管業に対する規制を強化することとなりました。

対象となる事業

この条例の対象となるのは、金属やプラスチックなどの再生資源を屋外で保管・処理する事業者です。具体的には、使用済みの製品や金属くずなどを屋外で保管し、破砕・切断・圧縮・解体・洗浄などの処理を行う事業が該当します。ただし、自ら原材料として使用するために保管する場合は対象外となります。

許可制度の導入

令和7年1月1日以降、埼玉県内で特定再生資源屋外保管業を行う場合は、事前に県知事の許可を受ける必要があります。ただし、敷地面積が100平方メートル以下の場合は、許可の対象外となります。また、既に事業を行っている場合は、令和7年6月30日までに届出を行えば、許可を受けたものとみなされます。

許可の基準

許可を受けるためには、以下の基準を満たす必要があります。

・保管場所の周囲に囲いを設けること。
・保管物の荷重が囲いにかかる場合、構造的に安全であること。
・汚水や油の流出が懸念される場合、底面を不浸透性の材料で覆い、油水分離設備や排水溝を設置すること。
・申請者が欠格事由に該当しないこと。

維持管理の義務

許可を受けた事業者は、以下の事項を遵守する必要があります。

・保管物の崩落や飛散、火災の発生・延焼を防止するため、積み上げる高さを規定内に収めること。
・汚水や油の飛散・流出、悪臭の発生を防止するための措置を講じること。
・騒音や振動による生活環境への支障を防止するための措置を講じること。
・害虫やねずみの発生を防止するための措置を講じること。

全国のヤード条例の状況

埼玉県のように、再生資源の屋外保管業に対して独自の条例を制定する自治体は、全国的に増加傾向にあります。たとえば、千葉県、茨城県、群馬県、愛知県、大阪府などでも、同様の条例がすでに制定されているか、または検討が進められています。今後は、こうした条例の制定がさらに広がり、最終的には法律として全国一律に規制される可能性もあります。