産業廃棄物の収集運搬業務を行ううえで重要なのは、 「取り扱う廃棄物の種類を正しく理解すること」 です。
許可の範囲外の廃棄物を運んでしまうと、契約違反や行政処分につながる恐れがあります。
今回は、収集運搬業者が押さえておくべき産業廃棄物の種類や注意点について整理しました。
産業廃棄物は20種類に分類される
産業廃棄物は、法律で 20種類 に分類されています。
- 特定の業種から排出されたときのみ産業廃棄物となるもの
例:紙くず、木くず、繊維くずなど。 - 業種に関係なく産業廃棄物となるもの
例:汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、金属くずなど。
収集運搬業者にとって重要なのは、 自分の許可の範囲がどの種類に対応しているか を常に確認することです。
オフィス家具の収集で注意すべき点
オフィスから排出されるデスクや椅子などの什器類は、
- 廃プラスチック類
- 金属くず
の 混合廃棄物 に該当します。
そのため、収集運搬業者が運ぶ場合には、
「廃プラスチック類」と「金属くず」の両方の許可 が必要になります。
「一方の許可しか持っていないのに運んでしまった」というケースは違反になるので要注意です。
混合廃棄物が総体物で判断される場合
実務上よくあるのが、少量の廃棄物が混ざり、判断がつかないケースです。
例えば、
- 汚泥に廃油が混ざっている場合
→ 廃油がごく少なく、全体(総体物)として汚泥が主体なら「汚泥」として扱う。
この取扱いは、環境省の通知でも明確にされています。
👉 昭和46年9月28日 環整45号通知
収集運搬業者が、排出事業者と処分業者の間に入って取りまとめをする場合は情報をしっかりと共有し、 どの種類で契約・マニフェストを作成するかを確認すること が欠かせません。
特別管理産業廃棄物の収集運搬
通常の産業廃棄物のほか、 特別管理産業廃棄物 も存在します。
これは有害性が高いため、収集運搬についても厳格な規制があります。
例:廃石綿等、PCB廃棄物、感染性廃棄物など。
運搬には 専用の許可 が必要となるため、通常の許可とは区別して確認しましょう。
産業廃棄物20種類の一覧表
産業廃棄物は「業種限定のもの」と「業種を問わないもの」に分けられています。
収集運搬業者としては、自分の許可が どの種類に対応しているか を常に確認しておくことが大切です。
業種が限定されるもの(特定業種のみが対象)
| No | 廃棄物の種類 | 主な内容 | 該当する業種の例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 紙くず | 紙片、裁断くずなど | 建設業、製本業、製紙業 等 |
| 2 | 木くず | 木材の端材、伐採木、型枠材など | 建設業、木材加工業、家具製造業 等 |
| 3 | 繊維くず | 繊維くず、布、端切れなど | 建設業、繊維製造業 等 |
| 4 | ゴムくず | 天然ゴムや合成ゴムの端材等 | 自動車タイヤ製造業 等 |
| 5 | 動植物性残さ | 食品製造過程で出る残さ | 食品製造業 等 |
| 6 | 動物系固形不要物 | 畜産業等から出る内臓、骨等 | と畜場 等 |
業種を問わないもの(どの業種から出ても対象)
| No | 廃棄物の種類 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 7 | 汚泥 | 排水処理の沈殿物、泥状物質 |
| 8 | 廃油 | 機械油、潤滑油、廃グリース等 |
| 9 | 廃酸 | 廃硫酸、廃塩酸など酸性廃液 |
| 10 | 廃アルカリ | 廃苛性ソーダ、石けん液など |
| 11 | 廃プラスチック類 | 樹脂くず、合成繊維、ビニール等 |
| 12 | ゴムくず | 天然ゴム、天然ゴム製品端材等 |
| 13 | 金属くず | 鉄くず、非鉄金属くず |
| 14 | ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず | ガラス片、レンガ、瓦等 |
| 15 | 鉱さい | 高炉スラグ、非鉄金属精錬かす |
| 16 | がれき類 | 建物解体で出るコンクリート破片等 |
| 17 | 動物のふん尿 | 畜産業から排出されるもの |
| 18 | 動物の死体 | 畜産業などから排出されるもの |
| 19 | ばいじん | ボイラーや焼却炉のばいじん |
| 20 | その他政令で定めるもの | 廃汚泥のコンクリート固形化物等 |
契約・マニフェスト記載は慎重に
収集運搬業者は、排出事業者との契約やマニフェストの記載時に、廃棄物の種類を正確に記載する義務があります。
- 種類を誤記載したまま運搬した
- 許可のない種類を契約・運搬してしまった
こうした場合、排出事業者だけでなく収集運搬業者自身も責任を問われます。
「とりあえず廃プラで書いておこう」 という安易な判断はトラブルの原因になるため、必ず事前に確認を徹底しましょう。
まとめ
- 産業廃棄物は 20種類 に分類される。
- オフィス家具は「廃プラスチック類+金属くず」の混合廃棄物。
- 混合廃棄物は総体物で判断される場合がある。
- 特別管理産業廃棄物は専用の許可が必要。
- 契約やマニフェストの記載は、必ず正確に。
収集運搬業者として信頼を得るためには、まず 廃棄物の種類を正しく理解し、許可の範囲を守って運搬すること が基本です。
適正処理を徹底することで、排出事業者から選ばれるパートナーになることができます。
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