産業廃棄物の適正処理を行うためには、排出事業者は法律に基づいて 収集運搬業者 または 処分業者 とそれぞれ契約を結ぶ必要があります。ここで重要なのは、契約の形態についてです。
原則は2者契約
排出事業者は、
- 収集運搬業者との契約
- 処分業者との契約
というように、 2者間で個別に契約を締結しなければなりません。
つまり、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者で一つの契約を結ぶことは、原則としてできません。
例外:収集運搬と処分を同一業者が行う場合
ただし、収集運搬と処分を 同一業者が担う場合 は、両者をまとめて1つの契約にしても問題ありません。
これは実務上もよくあるケースです。
よくある実務の流れ
実際には、排出事業者が自ら処分業者を探して契約するケースは少なく、
多くの場合は 収集運搬業者が処分業者を紹介し、契約の取次ぎや処分料金の管理を行う ことが一般的です。
ここでよく相談されるのが、
「処分料金や支払いの流れをどう契約書に反映させればよいか?」
という点です。
契約書作成のポイント
- 収集運搬業者との契約書
- 処分業者との契約書
それぞれをきちんと作成したうえで、料金の支払い方法や取次ぎに関する取り決めは、 覚書という形で3者間で締結すれば足ります。
ここで注意すべきなのは、この「覚書」は廃掃法に基づく必須の契約ではないため、原契約とは性質が異なる点です。したがって、料金や支払い系統に関する取り決めであれば、3者間で合意書を結んでも問題ありません。
覚書の書き方例
覚書では、最低限以下のような事項を明確にしておくことが望ましいです。
- 排出事業者は、処分料金を収集運搬業者へ支払う
- 収集運搬業者は、受け取った料金を処分業者へ支払う義務を負う
- 処分料金の金額、支払期限、支払方法
- 不払いがあった場合の責任分担
- 契約解除や債務不履行時の対応
※実際の覚書には、個別の契約条件や支払サイクルに応じた具体的な記載が必要です。
トラブル事例と注意点
実務で多いのは、以下のようなトラブルです。
- 収集運搬業者が処分料金を滞納し、処分業者に支払いが行われない
→ 排出事業者は「支払ったのに処分業者に届いていない」と困るケース。 - 料金の取り決めが口頭で行われ、契約書に明記されていなかった
→ 契約不明確により、後で「そんな取り決めはしていない」と揉める。 - 責任の所在が不明確
→ 誰に請求すべきか、誰が責任を負うのかが曖昧になり、最終的に排出事業者が二重に支払う羽目になる場合も。
これらを防ぐには、必ず 書面で責任の所在を明確にすること が重要です。
まとめ
- 廃棄物処理委託契約は 原則2者間契約
- 収集運搬と処分が同一業者の場合のみ、まとめて契約可能
- 処分料金や支払いの流れは、 覚書で3者間合意すればOK
- 覚書には支払ルールと責任分担を明記する
- トラブルを防ぐには「口約束ではなく必ず書面化」
契約関係をしっかり整理しておくことは、排出事業者にとっても収集運搬業者・処分業者にとっても大きなリスク回避につながります。
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