廃棄物に関する手続

<廃棄物について>

「産業廃棄物」の具体例はこちら

<産業廃棄物処理業について>
産業廃棄物の「処理業」は「収集運搬業」と「処分業」の双方を指します。この内、「収集運搬業」は積替保管を「含む」ものと「除く」ものに分かれます。また、「処分業」は「中間処理」と「最終処理」に分かれています。許可の対象はこの「収集運搬業」と「処分業」となります。
※わかりやすくお伝えするために簡単に記載しています。

産業廃棄物収集運搬業許可

(産業廃棄物処理業)
第十四条
産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

産業廃棄物を収集運搬する許可です。許可には「積替保管を含む」ものと「積替保管を除く」ものがあります。いずれも廃棄物を「積み込む自治体」「積み降ろす自治体」許可が必要です。

積替保管を除く場合

【収集運搬に必要な許可】
 ①埼玉県(積替保管を除く)
 ②神奈川県(積替保管を除く)
 以上2自治体 ※車両が通過するだけの自治体の許可は不要

産業廃棄物収集運搬業の主な許可要件

〇財政能力
⇒収集運搬業の許可は、事業を的確にかつ継続して行うことのできる経理的基礎を有することが必要です。原則債務超過でないことを求められますが、中小企業診断士の作成した経営診断書等により申請することは可能です。(要件は自治体によって異なります。)

〇施設(運搬車両・運搬用等)
⇒収集運搬を行うにあたり、営業所、駐車場、適切な車両、運搬容器等を有している必要があります。
車両はダンプ、平ボディ、ハイエースや軽自動車等、車両の形状等に制限はありませんが、廃棄物が運搬中に飛散流失しないよう廃棄物の状態に併せて密閉容器を使用したり、荷台に積載する場合にシート掛けをする等の対策が必要となります。また、ダンプのうち、土砂禁止車両の場合は過積載防止の観点からがれき類等の比重が重い廃棄物は荷台に直積みできないなどの基準がありますので、運搬する廃棄物と車両がマッチしているか十分に確認が必要です。

運搬車両(例)

ダンプ
荷台に直接廃棄物を積載して運搬できるため、建設廃棄物の運搬に適しています。なお、深ダンプは上記のとおり、土砂禁止車両に注意が必要です。
平ボディ
ダンプ同様に荷台に直接積載できるため幅広い廃棄物を運搬することができます。ドラム缶等の運搬容器を使用することにより液体等も広く運搬することができます。
塵芥車(パッカー車)
ペットボトル(廃プラ)、空き缶(金属くず)、ビン(ガラスくず)等の軟性の廃棄物の運搬に適しています。そのため、建設廃材のがれき類などのは回転盤で巻き込みできないため原則使用できません。

【注意ポイント】
車両の使用者は事業主(法人又は個人)である必要があります。レンタル車両(法人・個人を問わず)で登録できない自治体もあるため、車両を用意する前にあらかじめ申請する自治体に確認する必要があります。
従って、埼玉県から東京都へ運搬する等、都道府県を跨いだ事業計画で許可取得しようとした場合は、いずれか一方でレンタル車両が登録できないと相互の事業計画が成立せず、事業計画の修正が求められる等の事態が発生する場合があります。

※東京都では原則レンタル車両は登録できません。

運搬容器(例)

ケミカルドラム缶(ポリエチレン製等)
鉄製のドラム缶同様にクローズ式とオープン式の2種類があります。こちらは廃酸、廃アルカリ等の腐食性のある廃棄物の運搬に適しています。


〇欠格事由に該当しないこと

⇒申請者(個人事業主)、申請者の役員等、5%以上の株主等(法人の場合)及び令第6条の10に規定する使用人が、欠格要件に該当する場合には、不許可処分となります。なお、申請時点で欠格要件に該当していたことが許可後に判明した場合には、許可が取消しとなります。

〇技術的能力
⇒原則役員(個人は事業主)が公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講する必要があります。
現時点で産業廃棄物収集運搬業の許可を一つも保有していない場合は、新規申請に際して「新規」の「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を修了していることが必要でする。一つ以上有している場合は新たに他県で新規許可を申請する場合でも「更新」(有効期限のものに限る)の修了証で問題ありません。

例)東京都で収集運搬業の許可を有している ⇒ 埼玉県で新規許可を申請する場合でも「更新」の終了証で申請可能

積替保管を含む場合

【収集運搬に必要な許可】
 ①千葉県(積替保管を除く)
 ②埼玉県(積替保管を含む
 ②神奈川県(積替保管を除く)
 以上3自治体 ※車両が通過するだけの自治体の許可は不要

積替保管とは

積替保管の許可がない場合、廃棄物の収集運搬は直送となります。一旦積み込んだら、処分先まで荷降ろしができません。しかし、それでは少量の廃棄物を運搬する際等、運搬効率が悪くなってしまう場合があります。そこで一時的な保管場所を設けることで各排出場所から回収した廃棄物を保管したり、有価物を抜き取ったりすることができます。効率よく活用することで無駄な人件費や車両費等も削減ることができます。ただし、保管場所での廃棄物の適正な管理や施設の維持管理、その他通常の収集運搬業よりもマニフェスト管理が複雑になる等の注意点もあります。また、行政の立ち入り検査の対象になりますので、運営には法的知識も必要となります。

<メリット>
・運搬効率の向上
・有価物を抜き取ることができる
・経費削減

<注意点>
・保管場所における廃棄物の適正な管理
・施設の維持管理
・マニフェスト等の書類の管理
・法的知識

産業廃棄物処分業許可

(産業廃棄物処理業)
第十四条
 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

破砕、中和、脱水等により減量、減容化、安定化、無害化を行い、埋め立て処分の前処理や再資源化等の処理を行う許可です。
処理施設はなくてはならない施設ですが、それによって周辺住民への影響が問題となります。具体的には廃棄物の処理による悪臭、騒音又は振動によって生活環境への影響が生じないように対策を講じる必要があります。そのため、処理施設を設置するには施設の構造や設置場所等の要件をクリアしなくてはなりません。特に重要となるものは周辺住民の同意です。上記要件を満たしても周辺住民の同意が得られない場合は許可が取得できない場合があります。
処理施設の設置には長い期間と事前の投資が必要となりますので、まずは一度弊所までご相談ください。

保管基準(積替保管施設・中間処理施設)

収集運搬業における積替保管中間処分において処理に伴う保管を行う場合は以下の保管基準に従って保管する必要があります。なお、排出事業者が排出場所において廃棄物を保管する場合についても同様に保管基準に従う必要があります。

保管基準一覧

分類基準項目と内容積替
保管
中間
処理
囲い保管場所は周囲に囲いが設けられていること。
※保管する廃棄物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあっては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。
生活環境保全
上の支障防止
保管場所から産業廃棄物が飛散、流出し、地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講ずること。
保管に伴い汚水が生ずるおそれがある場合にあっては、当該汚水による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設けるとともに、底面を不浸透性の材料で覆うこと。
屋外において容器を用いずに保管する場合にあっては、積み上げられた産業廃棄物の高さが環境省令で定める高さを超えないようにすること。※下記の「野外における保管高さの基準」参照
その他必要な措置
保管場所にねずみが生息し、及び蚊、はえ、その他の害虫が発生しないようにすること。
石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物が他の物と混合しないように仕切りを設ける等必要な措置を講ずること。◯ 
石綿含有産業廃棄物は、覆いを設ける、梱包する等、飛散防止のために必要な措置を講ずること。
特別管理産業廃棄物である廃油、PCB汚染物、PCB処理物にあっては、容器に入れ密封するなど、当該廃油、PCBの揮発の防止のために必要な措置及び当該廃油、PCB汚染物又は処理物が高温にさらされないために必要な措置を講ずること。
特別管理産業廃棄物である廃酸又は廃アルカリにあつては、容器に入れ密封すること等当該廃酸又は廃アルカリによる腐食を防止するために必要な措置。◯ 
PCB汚染物であって環境大臣が定めるもの(廃蛍光ランプ用安定器、廃水銀ランプ用安定器又はナトリウムランプ用安定器であって、かつ、PCBが付着し、又は封入されたPCB使用廃安定器)にあっては、人の健康又は生活環境に係わる被害が生じないように形状を変更しないこと。
PCB汚染物又はPCB処理物にあっては、当該PCB汚染物又はPCB処理物の腐食の防止のための必要な措置を講ずること。
廃水銀等にあっては、容器に入れて密閉するなど、当該廃水銀等の飛散、流出又は揮発の防止のための措置、高温にさらされないために必要な措置及び腐食の防止のために必要な処置を講ずること。
特別管理産業廃棄物である廃石綿等にあつては、梱包すること等当該廃石綿等の飛散の防止のために必要な措置
腐敗するおそれのある特別管理産業廃棄物にあっては、容器に入れ密封するなど、当該特別管理産業廃棄物の腐敗防止のために必要な措置を講じること。

保管場所の掲示

保管基準は上記の他に、保管場所について以下の内容を記載した掲示をすることが義務付けられています。・掲示板の大きさ縦60㎝以上×横60㎝以上

・(特別管理)産業廃棄物の保管場所である旨の表示
・保管する(特別管理)廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれている場合は、その旨を含む)表示
・保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先の表示
・屋外において容器を用いずに保管する場合の最大保管高さの表示
・保管上限の表示(収集運搬・中間処理の場合)※排出場所での保管には保管上限の適用なし

<野外における保管高さの基準>

<保管数量及び保管期限の上限>

保管基準には以下の保管期間の上限があります。※排出場所の保管には当該上限の適用はなし

 区分保管数量の上限保管期間の上限
積替保管1日当たりの平均搬出量の7日分搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること。
中間処理処理能力の14日分処理施設において適正な処分又は再生を行うためにやむを得ないと認められる期間

定期点検中・その他の廃棄物保管のルール>

定期点検や修理が行われる間に、廃棄物処理施設で廃棄物を保管する場合、その保管できる量には上限があります。この上限は次の式で計算されます

定期点検時の保管上限 = 処理能力 × 点検の日数 + 基本数量 ÷ 2

処理能力: 施設が1日で処理できる廃棄物の量

定期点検の日数: 点検や修理にかかる日数

基本数量: 通常、施設が保管できる廃棄物の量

2. 定期点検とは
定期点検とは、施設の維持管理計画に基づいて、定期的に行われる点検や修理のことです。この点検が連続して7日間を超える場合に、特別な保管ルールが適用されます。

3. 保管量の制限
定期点検が始まる前に、施設内に保管されている廃棄物の量を基本数量の半分まで減らしておく必要があります。もし、点検が終わったときに施設内の保管量が基本数量を超えていた場合は、点検終了後60日以内に基本数量まで減らさなければなりません。

4. その他ルール

廃タイヤ: 11月から3月の冬の時期に保管する場合、処理能力の60日分まで保管できます。

廃プラスチック類: 優良産業廃棄物処分業者が廃プラスチックを処分や再生のために保管する場合、処理能力の28日分まで保管できます。

産業廃棄物の種類保管上限基本数量留意点
建設業(工作物の新築・改築・除去に係る右のもの)木くず、コンクリートの破片(石綿含有産業廃棄物を除く)当該処理施設の1日当たり処理能力に基本数量を乗じたもの28・分別されたものに限る
アスファルト・コンクリートの破片70・再生を行う処理施設において再生のために保管する場合に限る
その他の産業廃棄物14・建設業に係るものであっても分別されないものはこちら

法15条第1項の規定による設置許可

(産業廃棄物処理施設)
第十五条
産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

一定の処理能力を有した処理施設は設置許可を受けなければなりません。これは廃棄物の処分に該当の有無に関わらず対象となります。例えば汚泥の脱水施設で処理能力が10㎥/日を超えない場合は、汚泥の脱水施設に関する業許可のみで運営することができますが、処理能力が10㎥/日を超える場合は、さらに設置許可が必要となります。廃棄物の処分に該当しない場合(例:有価物を使用したボイラー等)で一定の処理能力を超える場合は、業許可は不要ですが、設置許可は必要となります。

(設置許可を要する処理施設一覧)

処理施設の設置には長い期間と事前の投資が必要となりますので、まずは一度弊所までご相談ください。

手続きフロー(積替保管施設・中間処理施設・設置許可)

積替保管施設、中間処分施設、設置許可はいずれも当該許可申請に先立ち関係市町村での事前協議が必要となります。関係市町村では条例や要綱等によって当該地域の環境保全のための基準等が設けられています。多くの場合、事前協議の承認の要件として住民同意や協定(業の許可における事前手続きにおいても同様に住民同意、協定が定められている場合があります。)が求められています。
関係市町村と並行して都道府県(業及び設置許可権者)との協議が必要となります。手順としては市区町村での事前協議の承認をもって都道府県との事前協議(都道府県では、施設に関する審査や維持管理といった面で審査が行われます)とされている場合が殆どですが、実務上は平行して都道府県との調整を行うことで、その後の協議をスムーズに進めることができます。
設置許可については、別途、開発許可や建築基準法第51条但し書き許可が必要となります。これらの手続きは建築士、測量士等が申請担当となるため、行政書士は全体の調整を行いながら手続き漏れや各工程に遅滞が生じていないか等、全体の統括を行います。
上記はあくまで一例となります。施設を計画する自治体によって手順や詳細が異なります。

(埼玉県 産業廃棄物処理施設設置許可 手続きフロー)

許可取得までのフロー

例)産業廃棄物収集運搬業許可申請(積替え保管を除く)


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